樹木葬は最近ブームになって、日本全国に広がっています。お墓の石の代わりに木を植えるという樹木葬についての解説です。
樹木葬の背景
従来のお墓は大量の石材とコンクリートを使っていて、いつまでも壊れることなく長持ちするように作られたものです。我が国では地震の被害がとても多いことから、最近のお墓は地震に対して強い耐震補強しているので、大きな地震ではほとんどのお墓が倒壊するようなことがあっても、耐震補強されたお墓は倒れるようなことはありません。
お墓が耐震補強されて長持ちするようになったことは喜ばしい事ですが、いくらお墓が長持ちしたとしても最近は跡継ぎの人がいなくなってお墓を閉めざるを得ない「墓じまい」が増えてきました。
我が国では人口の減少、少子高齢化、核家族化といった問題が加速度的に進行していて、高度経済成長時代に発展したようなニュータウンも今やゴーストタウン化し、高齢者ばかりの街になりつつあります。
後継者が全くいない、或いは後継者がいたとしても遠くに住んでいる、跡を継がないなどの理由でお墓が不要となり、また、お墓を買おうと思っても後継者がいないのでは購入することが出来ません。
こういった時代の背景があることで、後継者不要を謳った樹木葬は人気があるのです。
そして樹木葬は墓石のような自然に還らないものを使うのではなくて、埋葬された近くに樹を植えるだけというシンプルなスタイルが人々の共感を得たとも言えるのです。
樹木葬の本来の姿
樹木葬は人々の共感を呼び、当初は樹木葬見学のバスツアーも大人気で、飛ぶような勢いで売れるので、その人気にあやかろうと、これまた雨後の筍のようにあちこちに樹木葬が新規オープンされているのです。
樹木葬の本来の姿としては
- 自然に還ること
- 後継者が居なくても購入できること
- 木を植えること、或いは自然の樹を利用する
なのですが、最近は樹木葬に見せかけた「樹木葬もどき」が目立ちます。
最近の樹木葬
最近の樹木葬は、どうも樹木葬ユニットみたいなものがあって、更地にした場所に樹木葬ユニットを設置するような方法がとられています。後付け商法と呼ばれるもので、樹木葬の象徴である樹も真ん中か後ろの方に一本だけ、それも今買って来て植えたばかりのような苗木が植えてあって、それで樹木葬はないと思います。
年間使用料が必要な樹木葬もある
お墓には墓地の管理費としての年間使用料が必要であり、年間使用料が払われなくなった場合には墓地の強制撤去ということもありますので、管理料を払い続けるためには後継者が必要であり、樹木葬はそういった後継者のいない方の受け皿となっているのですが、樹木葬にも管理料が必要な所もあります。
管理料を払い続けていれば個別に埋葬されて、一定期限後或いは管理料が支払わなくなれば合同埋葬になります。
永遠にあなたの土地ですよという契約はあり得ない
樹木葬にしてもお墓にしてもそうですが、よほど山奥の価値の無い土地ならまだしも、限りある土地でしたら、永遠に自分の土地であるという契約はあり得ません、永遠に個別にということにこだわるのなら、自分のお墓を持って、子孫が絶えないように、そして確実に継承してくれるようにしなければいけませんが、これも無理だと思います。
また、個別に埋葬の樹木葬にしても、管理料が入らないのであれば、いずれ破綻してしまいます。
こういったことを踏まえて、後継者の無い方は、いつかは合同になるということ、そして個別にということもある程度の期限で妥協、納得することが大切です。